食健三昧 - ノンフィクションライターの百瀬直也が「食」と「健康」を探求するブログ

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【健康】自家製ヨーグルトとLG21菌

昨日、生まれて初めてヨーグルトを作ってみた。
といっても、単に市販のヨーグルトを牛乳を使って10倍に増やしただけだが。
ピロリ菌と自家製ヨーグルトと、どちらの記事を先に書くか迷ったが、こちらにした。
ピロリ菌と胃がんリスクなどについては、後日書くことにしたい。


最近、母が明治乳業の宅配を注文するようになった。
プロビオヨーグルトLG21や、カルシウムを補給した牛乳など。
LG21というのは、どういう特徴があるヨーグルトなのか、興味をもって、ちょっと調べてみた。
すると、驚くことに、ピロリ菌に対する抗菌効果があるというではないか。
そうと知っていたら、もっと早く食べ始めただろうに。(知らなかったの私だけ?)


母は、そういうことまで知ってヨーグルトの宅配を始めたのだろうか。
LG21菌は、胃がんなどのリスクが高まるとされるピロリ菌に対する抗菌作用がある。
ピロリ菌とLG21については、後日に詳しく紹介したい。

LG21のチカラ

母は以前からヨーグルトが好きだったが、私も同じだ。
ただ、白砂糖などが入ったヨーグルトは食べたくないので、あまり食べなかった。
LG21のことを知ってから、食べるようになった。
この製品は、胃の中のピロリ菌を減菌する効果があるという点では唯一のものだろう。
わかもと製薬明治乳業が特許を取得しているので、他のメーカーは真似ができない。


LG21ヨーグルトは、112mlのものが120〜130円ぐらいするらしい。
近所の西友では、117円で売っていた。
同じメーカーのブルガリアヨーグルトのような、お徳用パックというものが販売されていない。
その理由は、おそらくLG21菌が酸素に弱いという点があるのだろうと推測する。


胃の中のピロリ菌の減菌という意味では、1日2個ぐらい食べないと効果がなさそうで、高くつくヨーグルトになってしまう。
宅配用の製品は、市販されているよりも量が少ない。
(市販用が112gで、宅配用が85g)
母に聞いてみると、1個120円ぐらいだとか。
西友ならば、117円で112gのを買える。
まあ、配達用の人件費がかかるので、メーカーからすれば仕方ないところだろうが。
健康に良いとはいっても、もっとコストが下がらないものか。
そこで、誰もが思いつくことは…

LG21菌を自家培養してみよう

…ということだろう。
私も、安直にそれを考えた。
だが、自家製ヨーグルトづくりの道には、最大の壁が待ち構えていた。
LG21(ラクトバチルス族・ガッセリー21菌)は、いわゆる「偏性嫌気性」の乳酸菌だ。
つまり、酸素中では増殖できない。


「そんなことない。うちではちゃんと培養できてるよ」と言われるかもしれない。
だが、LG21ヨーグルトには、ブルガリア菌とサーモフィラス菌も混合されている。
これらは通性嫌気性というタイプの菌で、酸素があってもなくても増殖できるのだ。
単に、ブルガリア菌とサーモフィラス菌によってヨーグルトができているだけなのだ。
下記の明治乳業のQ&Aページでも、そのことをはっきり言及している。↓


それでは、一般家庭でLG21菌を培養することは無理なのか?
しかし、上記の明治乳業サイトでも、「培養はむずかしく」と言ってはいるが、不可能とは言っていない。
私には、ひとつアイデアがある。
空気がダメならば、空気を閉めだしてしまえば良いではないか。
たとえば、市販食品の流通時に使われる、脱酸素剤(エージレスなど)を使うという手はどうだろうか。
これを、種菌と牛乳と一緒に、ヨーグルトメーカーに入れるのだ。


ただし、

  • ヨーグルトを培養する40℃近くの温度で使用できるかどうか。
  • 水分に耐えられるかどうか。
  • 脱酸素剤は小分けして販売されていないが、どうやって入手するか。

というような問題をクリアしなければならないが。
どなたか試してみて、成功したという方がいらっしゃったら、教えてください。^^

ヨーグルトメーカーを探す

というわけで、LG21の培養は無理かもしれないが、ヨーグルトメーカーが欲しくなってきた。
web上で探すと、安いのは2000円前後からあるではないか。
だが、そういう安物には、重大な欠点があることがわかった。
タイマーでストップする機能がないのだ。


ヨーグルトメーカーでは、ヨーグルト菌の培養に必要な時間だけ一定の温度を加えて、時間がすぎたら止めなければならない。
それを忘れると、菌の培養が進みすぎて美味しくないヨーグルトができたりする。
なので、タイマーストップ機能は必須だ。


というわけで、市場価格5000円以下の製品は、ほぼ全滅する。
だいたい7000〜8000円を超えると、タイマー機能がついたり「納豆もつくれます」といった製品も出てくる。
だが、たかがヨーグルトメーカー(?)に、そんなに金をかけたくないではないか。
で、ネット中から情報をかき集めた結果として、一つの製品が残ることになる。


家電製品は、大手のメーカーの製品だから良いとは限らない。
特に、ヨーグルトメーカーのような製品は、けっこう一点なんとか主義で、名もないメーカーが凝った製品を作ったりしているのではないか。
その推測は、当たっていた。

そしてヨーグルティアが残った

たどり着いたのは、タニカ(Tanica)というメーカーの「ヨーグルティア」(YM-1200)という製品だ。
価格.comのヨーグルトメーカーのコーナーでは、ベスト10にも入っていない。
しかし、価格コムの評判が常に当てになるとは限らない。
ヨーグルトメーカーについていえば、あまり参考にならないようだ。
やっぱりあそこには、この方面に一番詳しい主婦たちが集まってこないからだろうか。
たとえばAmazonの評価の方が、よっぽど参考になる。
気になる値段は、Amazonで5,500円ちょっと。
それより安いところは、探したが見つからなかった。


TANICA 【温度調節機能で市販・カスピ海ケフィアヨーグルト / 納豆・甘酒に対応】 ヨーグルティア スタートセット ブルー YM-1200-NB
なぜかブルーがいちばん安い。

下記はピンク。下記はホワイト。
TANICA ヨーグルティア スターターセット YM-1200-ST

TANICA ヨーグルティア スターターセット YM-1200-ST


このヨーグルティアのスターターキットというのを、Amazonで購入した。
それが昨日届いて、さっそくヨーグルトを作ってみた。
材料は、西友でいちばん安かった牛乳1リットル(150〜160円ぐらいだったか)。
そして、明治プロビオヨーグルトLG21の無糖版(112g)、117円。
これだけの材料費がかかるわけなので、はっきり言って、節約効果というのはそれほど大きくはない(?)。


このヨーグルティアの利点をまとめると、以下のようになる。

  • この価格でタイマー停止機能付き
  • 市販ヨーグルトからカスピ海ヨーグルトケフィアヨーグルトまで、これ一台で可能。
  • ついでに納豆や甘酒もつくれ、パンの発酵も可能。
  • 温度調節機能付き(メーカー曰く「世界初」)
  • 温度設定は25℃〜65℃までと幅広く変えられる。
  • タイマー設定も1〜48時間と範囲が大きい。
  • カラー40ページのレシピ集付き。
  • 容器が2個ついていて、片方がなくなる前に、もう一方で培養を開始できる。
  • 丸い容器のため、角張った容器よりも内壁についたヨーグルトが無駄にならない。
  • 容器は1.2リットルで、1リットルの牛乳と種菌がらくらく入る。


このように、ヨーグルト作りの細かいところまでよく考えられて作られている製品だ。
オールマイティーというか、これ1台でいろんなヨーグルト(や納豆まで)が作れてしまう。
問題の価格は、5,576円(送料無料)
注文するまで、かなり迷った。
LG21が培養できるかどうかわからないのに、これだけの出費をする価値があるかどうかと。
Amazon自体が販売しているのではないが、なぜか最近は、他業者が販売する製品でも送料が無料になったりする。
Amazon自身が販売していないので、例の翌日発送は無理。
注文してから届くまで、5日かかった。


まだ一度使っただけということもあるが、今のところ大きな不満はない。
ただ、電源スイッチは欲しいところだろう。
この手の家電製品はほとんどそうかもしれないが、いちいち電源ケーブルをコンセントから抜くのが面倒だ。
安全性を考えれば、この方式が良いのかもしれないが。

ヨーグルトを作ってみた

そして、昨日の夜、寝る前にヨーグルティアを初めて使ってみた。
まず、専用の容器とスプーンを、取説の指示通りに電子レンジに入れて殺菌。
次に牛乳と種菌(LGヨーグルト)を容器に入れて、軽く撹拌する。
そして、プラグをコンセントに入れて、温度と時間をセット。
マニュアル通りに、「市販ヨーグルト」の場合の温度40度、時間7時間にセットした。
これで、あとは翌朝にヨーグルトができるのを待つだけ。


翌朝、ヨーグルティアの容器を開けてみた。
外見を見ると、なんとか固まっている。
思ったよりも、ちょっと水っぽいかな。
試食していると、けっこう酸味が強い。
甘みを加えていないので、これが普通か。
あとで母に食べさせてみたら、普通のヨーグルトはこんなものだと言っていた。
個人的には、まったく酸味のないヨーグルトなんて食べたくない。
まだ温かい容器を冷蔵庫に入れて、仕事へ出かける。


夕方、仕事から帰って、容器を見てみると、朝よりも少し固まったように見える。
ちょうど母が作ってあったマンゴーピューレを乗せて、食べてみた。
いつも食べている甘味料入りのLG21とは違って、自然の美味しさを感じる。
ちなみに白砂糖のような健康によくないものは、家にはない。
やむを得ず使うときには、カルシウムやミネラルが残っている「きび砂糖」だ。


さて、果たしてLG21菌はちゃんと生きてくれているのだろうか。
それは、神のみぞ知る、だ。
自家製ヨーグルトでLG21菌を食べることができるかというと、それは「気休め」でしかないかもしれない。
あるいは、ヨーグルティアのように容器を密封できるタイプならば、うまくすればできるのかもしれない。
だが、それを確かめる術がないということになって、思考の堂々巡りになってしまうのだが。

LG21菌を培養できるか?

ちなみに、ヨーグルティアの容器は蓋を閉めると密封されるので、培養している間は空気は入り込まない。
【追記(2011/01/20)】よく見ると空気が入る隙間があるので、「密封される」は間違いでした。
問題は、容器の容量が1.2リットルあって、1リットルの牛乳と種菌用ヨーグルトで1.1リットルあるとしても、空気が入る余地が0.1リットル分ほどあることだ。
それだけの空気でも、LG21菌は培養されないのだろうか。
あるいは、もっと牛乳をギリギリまで詰め込めば、結果は違ってくるのだろうか。
それとも、買ってきたLG21を開けた瞬間に、もうダメなのか?
こればっかりは、いろいろ試してみても、確かめるすべはないのだ。
元々がこういう条件なので、作ったヨーグルトを種菌にして、培養を繰り返すことはやめた方が良いだろう。


ネット上でぐぐればすぐにわかるだろうが、LG21ヨーグルトをなんとか自家培養したいということは、多くの人たちが考えている。
だが、いままで書いてきたことでもわかるように、本当にそれが可能かどうかは、判断がむずかしいのだ。
デフォルトで「不可能」と考えた方が良いかもしれない。
たとえ無理でも、ブルガリア菌とサーモフィラス菌だけでも培養して美味しいヨーグルトができれば良いというのであれば、ヨーグルトメーカーというものを買ってみる価値はあるかもしれない。
もちろん、LG21にこだわらずに、ケフィアなどのヘルシーなヨーグルトを自分でつくれて、それで健康になるならば、安い買い物かもしれない。


個人的には、高齢の母のことも考えれば、買って良かった思っている。
母がレシピ集を見て、豆乳ヨーグルトに興味をもったようなので、こんどはそれを作ってみることにしたい。


【参考サイト】

追記(2010/07/31)

今日、2回目として豆乳ヨーグルトを作って思ったこと。
ヨーグルティアでは、温度は1度単位で細かい設定ができるのだが、時間は1時間単位という大雑把な設定しかできない。
ヨーグルト作りを何度もやっているうちに、経験的に、もっと細かい時間単位で設定したいと思う人もいるだろう。
できれば5分単位にでもしてほしいが、それが無理ならばせめて30分単位での設定ができるように改善してほしいものだ。
マイコン制御でプログラミングでやっているのだから、難しいことはないと思う。

追記

この記事の後日談は、こちらの記事で書いています。↓

追記2

東芝の『ヨーグルト工房 NATURIA ヨーグルトメーカー TYM-1000(W) 』という人気製品がある。
じつはこれ、TANICAのOEMなのだ。
Amazonでは7,500円ほどで売られている。
でも、本家の製品の方が安く買えるのに、わざわざOEMを買う理由なんてないように思われる。
それに、性能的にはタニカの新製品の方が上だったりもする。

TOSHIBA ヨーグルト工房 NATURIA ヨーグルトメーカー TYM-1000(W) ホワイト

TOSHIBA ヨーグルト工房 NATURIA ヨーグルトメーカー TYM-1000(W) ホワイト

追記3(2011/01/20)

この記事は、Googleなどで検索されて、いまだに多くの方々が読みにきてくれるようですので、ちょっと注釈を。
私の今までの経験からいうと、LG21菌を自家培養するのは、限りなく「不可能」に近いのではないかということです。
もしそうだとすれば、明治プロビオヨーグルトLG21を種菌として自家製ヨーグルトを作っても、LG21菌は増えないから意味がないことになります。
最初から、たとえばブルガリアヨーグルトを使った方が安上がりになるかも。
もし空気を遮断して培養する方法があれば、話は違ってきます。
その方法に成功したという方がいれば、ぜひ教えていただきたいものです。



こちらの記事で、続きを書いています。



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