食健三昧 - ノンフィクションライターの百瀬直也が「食」と「健康」を探求するブログ

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【食品】メープルシロップの謎~カルシウム豊富でGI値が低く血糖値が上がりにくい優秀な健康食品


今日、昼に母がパンケーキを作った。
直径20cm以上ある巨大なもの。
あまり食欲がなくて、少しだけ食べようと思っていた。
だが、上にかかっているシロップがあまりも美味しいので、全部たいらげてしまった。
パンケーキにシロップがよく染みこんでいて、絶妙な味だった。
パンケーキの脇に置いてあったのが、メープルシロップの瓶。
瓶のラベルには、こう書かれている。

Naturally
Maple
Canada No.1 Medium


キャップには、赤いカナダの国旗のマークがある。
興味を持って、瓶の裏を見てみる。

100%カナダ産
メープルシロップNo.1ミディアム
(カナダ食品検査庁基準による)
原材料名:砂糖楓の樹液

メープルシロップって?

輸入者は、平田産業有限会社(カネゲン)となっている。
この原材料名にある「砂糖楓」って何だろうと思った。
なぜカナダなんだろうとか、いろいろ疑問が出てきたので、調べてみた。


そもそも、メープルシロップって何者なのか。
Wikipediaメープルシロップの項を見てみる。

上記によると、サトウカエデなどの樹液を濃縮した甘味料とある。
樹液から作られるんだ。
それを煮詰めると、メープルシロップができる。
50年以上生きてきて、ぜんぜん知らなかった。^^;
メープルシロップは、本来は発音的には「メイプルシロップ」と綴りたくなるが、通例通りに表記することにした。

階級(グレード)がある

調べていくうちに、メープルシロップには、「階級」の規格があるということもわかった。


上記によれば、「Canada №1ミディアム」(Medium)というのは中間的な階級で、一般的に好まれるグレードだという。
瓶のラベルにあった「ミディアム」というのは、ブランド名ではなかったようだ。
「Canada №1ミディアム」は、AA、A〜DランクのBにあたる。
この階級というのは、光の透過率によって決まるらしい。
Bグレードでは、44.0%〜60.5%となっている。
これが75%以上だと、最高のAAグレード(Canada №1 エキストラライト(Extra Light))になる。
つまり、シロップの色が薄い琥珀色なものほど、高級品となるのだ。
あの色も魅力だが、グレードが低いほど色が濃くなるわけだ。
素人考えだと、逆に考えたくなるが。


メープルシロップをなめてみた。
独特の風味とコクがあり、とても味わい深い。
なるほど、これはみんなこだわるわけだ。

日本では模造品が主流

日本で売られているケーキシロップなどの名称のものは、本当のメープルシロップではなく、味を似せたものであるらしい。
それらは、コーンシロップにメープルの風味や香りを添加した模造品なのだ。
日本では、そういうメープルシロップもどきの物の方が主流になっている。
日本人の多くは、そういう模造品を本当の「メープルシロップ」と勘違いして使っているわけだ。
製品に「メープルタイプ」とか「メープルフレーバー」という表現が使われているものは、本物のメープルシロップではない。
そういうものは、裏の原材料名を見ればすぐにわかるだろうが。

カナダとサトウカエデ

カナダの国旗にある葉っぱは、じつはサトウカエデ(砂糖楓)の葉をデザインしたものなのだということも知った。
楓(カエデ)はカナダの国を象徴する木で、そこから採れるメープルシロップも、カナダ人にとっては重要なものなのだろう。
ケベック州では、世界の総生産の80%を生産するという。
Photobucket

収穫の方法

メープルシロップは、どうやって収穫されるのだろう。
そういう疑問も湧いてきた。
これもWikipediaのサトウカエデの項に答えがあった。
この樹液は、2〜4月の春先に、直径30cm以上の木に小穴をあけて採取される。
幹に蛇口のような金属管を刺して、その下に器を取り付けて受け取るのだ。
季節によって異なるが、1本の木から約40–80リットル採れるという。

健康にも良い

このメープルシロップを「探求三昧」ブログで取り上げる理由としては、これだけでは終わらないものがあるからだ。
それは、大事な「健康」的要素。


メープルシロップは、白砂糖と違って、ミネラル成分が豊富なのだ。
そして、白砂糖と比べて血糖値が上がりにくい。
糖尿病や低血糖症にも良いものなのだ。


白砂糖の害は、このブログで何度も書いてきた通り。
たとえば、下記の記事がある。


自分的に、真っ先に知りたかったのは、カルシウムとリンのバランスだ。
人間の体内では、カルシウムとリンは1対1のバランスを取っていることが望ましい。
カルシウムをいくらたくさん取っても、リンが過剰になれば意味がないのだ。
現代の我々の食生活では、食品の合成保存料などによって、リンが過剰になっている。
なので、リンよりもカルシウムが多く含まれる食品を摂取するのは重要なことなのだ。


メープルシロップの成分を見てみると、100g中のカルシウムが75mgで、リンが1mgとなっている。
なんとリンの75倍ものカルシウムが含まれている。
カルシウムの量では黒砂糖(240mg)に負けるが、三温糖(2mg)などよりもずっと多い。
これは砂糖に代わる優秀な食品だ。
下記のページにある成分表で、「Ca」とあるのがカルシウムで、「P」がリンだ。


砂糖の害について今まで散々探求しておきながら、メープルシロップの利点をよく把握していなかった。
これは良い収穫となった。

Amazonで扱っているメープルシロップ(と模造品)

こちらは、メープルシロップもどきの一例。
Amazonでは、200gで280円ほどで売られている。
森永のサイトで原材料名を見ると、こうあった。

ぶどう糖果糖液糖、水あめ、香料、カラメル色素

なんだ、単に水あめを薄めて色を付けただけのものじゃないか。
ちなみに、森永では純粋なメープルシロップ(Canada №1ミディアム)も販売している。

森永 ケーキシロップ メープルタイプ 200g

森永 ケーキシロップ メープルタイプ 200g


Amazonで「メープルシロップ」で検索してみると、面白い。
瓶のデザインが凝っているカナダの輸入品が、いろいろと見つかる。
こちらは、オーソドックスなスタイル。

シタデール ピュアメープルシロップNo.1ミディアム 250g

シタデール ピュアメープルシロップNo.1ミディアム 250g

これは5つのクラス(階級)の製品のセット。
透明度が違うことがわかる。
ピュアメープルシロップ 5クラス 330g(250ml)×計5本 カナダ・ケベック州の100%

ピュアメープルシロップ 5クラス 330g(250ml)×計5本 カナダ・ケベック州の100%

250ml×3本のセット。カエデの葉を象った超変わったデザイン。階級の明記なし。こちらは最高級のエキストラライト。250ml。
たしかにいい色している。
[asin:B003L3CPA6:detail]

追記(2011/01/17)

さきほど母に「メープルシロップは体にいいんだよ、カルシウムが多くて」と言ったら、もう知っていたようだ。
「樹液を煮詰めて作るんだってね」と返ってきた。
察していた通り、やはりテレビで仕入れた情報だったようだ。
テレビというのもバカにならない。
私は時間の無駄だと思って見ないが、時には有益な情報も得られる。

追記(2016/03/20)

この時には書かなかった(知らなかった)が、メープルシロップGI値が低い…つまり血糖値が上がりにくいという点でも注目すべき甘みの元だったのだ。
詳細はこちらに。↓
allabout.co.jp



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